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最高裁判所第三小法廷 昭和23年(れ)1459号 判決 1949年2月08日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

辯護人大島正義、同島田武夫、同大和勝栄、同川添清吉の上告趣意は添附した別紙記載の通りである。

辯護人川添清吉上告趣意第一點及び第二點について。

第一審公判調書によれば、裁判長は被告人に對し公判請求書の記載事実及び司法警察官の聽取書を讀聞けたるところ被告人は其通り相違ないと供述した旨を記載しているが、右公判請求書記載事実並びに右聽取書記載事実を記載していないことは所論の通りである。公判調書はできる限り詳細に記載することは望ましいことであるが、本件第一審公判調書についていえば、右公判請求書と右聽取書を一讀すれば被告人の第一審公判における供述内容は明らかとなるのであり、其供述内容は原判決に判示した事実と照應するものであることは、記録上明白であるから原判決において第一審公判調書を證據として擧示した以上は重ねて右公判請求書並に右聽取書を擧示しないからとて採證法則の違背とはいえない。しかのみならず原判決は右公判請求書を證據として事実を認定したものでないことは判文上明白であるから、右公判請求書について證據調をしないからとて所論の如き違法はない。從って論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑事訴訟法施行法第二條及び舊刑事訴訟法第四四六條により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

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